2017.08.21
「シュタイナー教育」って、何だろう?その1
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.7 2017.08.21
ー高等部 教員よりー
シュタイナー教育に関わるようになって、10年足らずのひよっこの私。「シュタイナー教育って何?」と聞かれる度に、どう説明したらうまく伝わるか、あれこれ試行錯誤しています。
教科書的な回答としては……
「シュタイナー教育」とは、ルドルフ・シュタイナーという思想家が確立させた教育法で、100年ほど前からドイツを中心に広がり、現在では世界各国で実践されています。
感覚・体験を重視し、芸術活動を多く取り入れた独自の自由教育です。
……といったところでしょうか。
これじゃ、どんな教育なんだか、具体的な内容がさっぱりわかりませんよね。
具体的なカリキュラムについて説明すると……
小中高12年間一貫教育
1~8年生(中学2年生)まで同じ担任教師が持ち上がる
教科書がない(※高等部では一部教科書を使用します)
毎朝100分×数週間の単位で一つの教科を学ぶエポック授業(※「エポック」とはドイツ語で「期間・区切り」などの意味を表します)
芸術科目が多く、授業そのものも芸術的な要素が濃い・感覚・体験を重視する学びや実習が多い
……これでも、まだよくわかりませんよね。
「シュタイナー教育」という言葉についてくるイメージは……
自然素材のおもちゃを使用
自然素材の衣服を着用・添加物のない体に優しい食材・生活のリズムを大切にする
四季折々の行事を大切にする
テレビやゲームなど二次元のものに触れさせない
……こんなイメージを、皆さんお持ちじゃないですか。
このイメージ通りにできていれば、「シュタイナー教育」だと思われている方もいるかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか?
「シュタイナー教育」って、いったい何なのでしょうか?
シュタイナー教育は、よく「自由への教育」と表現されます。ここで気をつけたいのは、世の中には「自由教育」とか「オルタナティブ教育」などと呼ばれる、さまざまな「自由」を謳う教育があって、そのどれもが同じ「自由」ではない、ということです。
すべてを子どもの自主性に任せ、何でも子どもの好きなようにさせる「自由」もあれば、ミッションスクールなど、特定の教えや定義における「自由」を保障するものなど、さまざまな「自由教育」があります。
では「シュタイナー教育」でいうところの「自由」とは何か?
シュタイナー学校には、何でも子どもの好きなようにさせる「自由」はありません。学年ごとに一定のカリキュラムがあり、そのカリキュラムに沿って学びます。カリキュラムは子どもの成長段階に合わせ、その時期に必要な学びを、ベストなタイミングで学ぶことができます。このカリキュラムが子ども達の学びへの意欲をかきたて、子ども達の心と身体を育んでいくのです。
そうして12年間シュタイナー学校で学んだ子ども達は、「真の自由」を手にしていると私は感じます。
それは、一人の人間として、自分の足で立ち、自分の人生を自己責任で、生きていくことができる「自由」です。
本当に自分がやりたいこと、本当に自分に合っていることを、自分の責任において、自由に選び取ることができるという意味です。
ーその2に続きますー
白田 拓子(高等部 教員)