2020.11.25
アドヴェントとろうそく作り
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.94 2020.11.25
毎年、山の木々が色づく頃に、私たち、アドヴェントろうそく作りの会は、活動をしています。
私は、12年生の娘が入学した時から12年間、この会の活動をしてきました。
この会の始まりは、シュタイナー学園が、三鷹から、この藤野の地に移転した時のこと。
とても多忙でとても大変な状況の中、子どもたちの為に頑張って下さっている先生方に、何か感謝の気持ちを伝えたい、何か少しでも親たちができることはないか?と考えた保護者たちから生まれた会だと聞いています。
私たちの活動は主に、毎年学園でアドヴェントの時期に、各教室で4本ずつ大切に使われている、蜜蝋ろうそくを作り、先生方へお届けすることです。
第一アドヴェントの前の金曜日、下校後には先生方が集まって、それをクランツ(リース)に仕立てて下さいます。(※アドヴェントとは)
そして、次の月曜日、青い布でしつらえられた教室では、1本目のろうそくに火が灯り、次の月曜日には2本目、その次の週は3本目、4本目とクリスマスまでの4週間、お話や歌と共に灯がともされていることと思います。
学園のろうそくは、蜜蜂の巣を構成する蜜蝋だけで作られます。
まずは精製、毎年10キロ程の蜜蝋の塊を、のみと金槌で砕き、湯煎で溶かしたものを漉して固めます。
精製した蜜蝋を、缶に入れ、湯煎で溶かし、その中に芯をディッピングしていきます。
綺麗に真っ直ぐなろうそくを作るためには、ディッピングに集中する、心の静けさが必要だと感じます。
私たちは、お鍋を囲み輪になって、クツクツと蜜蝋の溶ける音を聞きながら、時には季節の歌を歌いながら、時にはライアーの音を聞きながら、ゆっくりと、しっかりと、付けては冷ましを何度も何度も繰り返し、少しずつろうそくを太らせていきます。
会以外の保護者にも声をかけ、毎年、4~6日間程集まって、仕上げます。
時間をかけて丁寧に作る作業だからこそ、美しいろうそくが出来上がった時には、とても達成感があります。
蜜蝋の甘い香りに癒やされながらのろうそく作り、このひと時は、子育て中の慌ただしい日常において、豊かで格別な時間だと思っています。
そして、きっと同じように思っている仲間が集まり、毎年この季節に会えて、一緒に活動することも楽しみです。
そしてもうひとつ、忘れてはならないこと、蜂が一生のうちに集める蜜蝋は、ティースプーン10分の1程度だとか。自然界へも感謝せずにはいられません。
先生への感謝の気持ちから始まった活動ですが、いつの間にか沢山の恩恵を頂いています。
今年は新型コロナウイルスの感染防止のため、残念ながら、会の活動は、少人数制で行い、毎年行ってきた、1年生、転入生保護者の方向けの、ろうそく作りの会は、開催できませんでした。
1年生、転入生の保護者の方をお迎えする会では、例年、OBの保護者の方の協力によるコンサートを開き、各家庭での、今までのアドヴェントの過ごし方を歓談したり、ご自宅用ろうそく作りのお手伝いをし、親同士の交流の場ともなっていました。
来年は、多くの人が集まって、蜜蝋ディッピングろうそく作りができることを切に願います。みなさま、どうぞ、善きアドヴェントの時をお過ごしください。
ライター/保護者 戎美弓紀