学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2022.02.02

子ども

子どもたちが感じたチャレンジキャンプ ―8年生の感想文より―

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.125 2022.2.2

思春期の子どもたちが自分の限界を知り、自然や友だち、大人たちとあらたな絆を結んだ8年生(中学2年生)のチャレンジキャンプ。今回は、ハードなキャンプを体験した子どもたちの感想文を抜粋でご紹介します。

前回の記事「自分の道を歩みだす一歩~8年生のチャレンジキャンプ~」(ニュースレターVOL.124)はこちら



夜には、鹿の鳴き声や、星空を眺めることができた。星空を見上げた時、私は感動した。私の思う「星空」そのものだったからだ。むしろそれ以上に綺麗で、いつまでも眺めていられると思った。3日目の締めくくりにスタッフTさんが自分の山への思いを語ってくれた。私は今まで登山は山を登るだけだ、と考えてしまっていた。しかし、Tさんは自分の考えを見つめるということをこの登山を通してやっている。別れの時がっしりと手をつかんでくれた時、私はTさんが経験した数々のことを感じることができた。
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朝、鳥の声で私は目覚めた。昨日張ったタープを見て、ここで野宿していることを思い出した。心の中は妙にすっきりしていて、昨日とは大違いだった。木々の間から光のカーテンが差し込むと、苔や川が嬉しそうにキラキラと輝き始めた。私も一緒に嬉しくなった。そんな風に朝の太陽の力をもらった私たちは、少しだけ強くなっていた。チャレンジキャンプはいろいろな感情が生まれ、私の心が洗われた気がした。
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自然は甘くない。特に参ったのは雨対策だ。タープを張る前に雨が降り出したため、寝床の地面はびしょびしょになった。そこに水がたまらないように、スコップで水が川に流れるように道を掘った。タープも三角に張るとどうしても水がたまるので、斜めに張り、片側を木で作った柱で支えるようにした。寝床の地面には、ビニール袋を切ったものを広げ足りない部分は新聞紙で補った。僕たちは皆で知恵を出し合い、様々な工夫を編み出していった。
全て自分たちでやらなければならない。道具がなければそれに代わるものを作ったり、あるもので間に合わせる工夫をしなければならない。この合宿を通し、家のありがたさに気が付き、また、考えて何かを生み出していくことの大切さを知った。
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自然のなかで、ぼーっとするのは、ただぼーっとしているだけではない、と僕は思う。ぼーっとするというのは、自分の心と自然の心が繋がっているという事ではないか。だから自然のなかにいると心が落ち着き幸せな気分になるのだろう。
森のなかでのんびりぼーっとして過ごしていると、僕は疲れや、昨日の雨で森は嫌だと思っていたことも忘れ、心も身体も軽くなった。まるで川のせせらぎに心を洗ってもらったかのように。
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普段使っているような、便利なものが何もない森のなかでキャンプをするというのは、始め不安もあった。けれど、実際にやってみると便利な生活よりも楽しさがあるように思えた。森のなかにいると、毎日がとても楽しく感じられる。天気などこれから先におこることもわからない。その時にあった行動をするのだろう。それは別の方向から考えれば「自由」だ、と私は思う。
森のなかにいたら、時間を気にする必要もあまりない。さらに足りないものがあれば、自分たちでどうにかまかなえるものを見つける。そしてそれが見つかった時の嬉しさや達成感は、何もない森のなかだからこそ、味わえるものなのだろう。タープは、テントよりも開放感を感じられる。私は今まで夜の暗さは怖いと思っていたが、そんな闇でもそのなかに溶け込んでしまえば何も怖くはないのかもしれない。
 


子どもたちの文章からは、深い自然のなかでのキャンプの光景が浮かぶようです。子どもたちが経験した苦労や驚き、達成感や感動は、これから先も何度も思い起こされ彼らの力になることでしょう。