学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2022.05.11

教育

週末クラス「もりのね」が始まります!

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.132 2022.5.11

5月14日(土)、28日(土)と学園の風光山荘で週末クラス「もりのね」の親子体験会があります。これは学園に何らかの理由で通えない1年生児童向けの週末クラスで、募集人員6名で6月から本格的にスタートします。フォルメンや濡らし絵など、普通の学校ではなかなか体験できないものを中心に授業が組まれます。その後準備が整えば、オイリュトミーや編み物等も加えていく予定です。そして順調にいけば、次年度以降学年が積み重なっていけることを期待しています。

他の学校に通う子どものための“土曜クラス”は、学園の前身である東京シュタイナーシューレ時代から複数クラスが設けられており、たくさんの児童・生徒がそこで学んでいましたが、藤野に移転する際に話し合いの末、『東京シュタイナーこどもの会』と名前を変え、都会の子どもたちのための土曜クラスとして独立していくことになりました。

その後も何度か藤野の地での土曜クラスの立ち上げが計画され、体験講座も開かれて、是非通いたいという声も聞かれましたが、運営上のいくつかの難しさもあり実現できずにきていました。それは、常勤教員が週末クラスにまで手が回らない、土曜日の学園行事が多すぎて場所としての空き教室がない、藤野の地の交通環境でどれくらいの家庭が地域外から通ってこられるのかがわからない、等々です。

これは私が教えていた土曜クラスのことですが、その日は季節の祝祭を厳かに行った日でした。いつも腕白で悪戯ばかりしていたその元気な男の子は、その日の帰り道にお母さんと手を繋いで、でも一言も喋らずにずっと神妙な顔をしていたそうです。そして家に着く前に、「お母さん、僕これから良い子になる」と一言、言ったそうです。週末クラスは隔週で、時間もさほど長くないクラスとなりますが、それでもいろいろな意味で子どもへの働きかけができると期待しています。

土曜クラスを本当の意味で学園に根付かせるには乗り越えるべき課題はまだまだありますが、それをはるかに上回る熱い思いを持った保護者たちが集まり関わって、ようやくここまでこぎつけました。自分の子どもにシュタイナー教育を受けさせたいという親の気持ちに、全日制や土曜クラスの差はありません。そこの授業で子どもたちが受け取った魂の喜びは、どの子にも等しくかけがえのない生きる力となり、宝となっていったのをたくさん見てきました。学園は学内の児童・生徒のみならず、広くシュタイナー教育の素晴らしさを外の多くの子どもたちに広めていく使命があると考えています。

これからようやく第1歩を踏み出そうとしている土曜クラス「もりのね」ですが、必ずや学園に新たな風を吹かせてくれると信じています。学園に灯ったばかりの小さな灯ですが、やがてはたくさんの子どもたちにとって大きなセント・エルモの火(嵐の大海で遭難しそうな水夫たちを導くといわれる伝説の火)になっていけるように心を寄せていただけると幸いです。

ライター/教員 木村義人