2023.01.18
“なぜ”、“どうして”と考えることを大切に ~シュタイナー学園の数学~
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.149 2023.1.18
「『おんがく』は『音学』ではなく『音楽』と書きます。ところが『すうがく』は、『数学』と書いて『数楽』とは書きません。中には『数我苦』と書きたい人もいるかもしれません」(教科通信「数楽かわらばん」より)
「あなたは、数学について、次のどれにあてはまりますか?」
(1) 得意:好きで、できる
(2) 好き:できないけれども、好き
(3) 嫌い:できるけれども、嫌い
(4) 不得意:嫌いで、できない
毎年、9年生の最初の授業で質問します。年によって多少の違いはありますが、(1) は1~2人、(2) が数人、(3)と(4) が半数以上という結果です(謙遜もあるとは思いますが)。私の望みは「1年後、同じ質問で選ぶ数がより小さな数になるようにしたい。まちがっても大きな数にはならないといいのですが」です。
生徒への要望です。
「“なぜ”、“どうして”と考えることを大切にしてください。“わからない”は大切なことです。どしどし質問をしてください。“間違うこと”は大切なことです。これが理解を深めることにつながります」(同教科通信)
授業では、私の「どうして?」「どう考えた?」という突っ込みの声が響きます。生徒が見事に説明する場面が多いのですが、中には途中で「あっ、いいです。何でもないです」と引込めてしまうこともあります。そんな時は「そこで止めない! もうひと押し考えて」と大きな声がとんだりします。
突拍子もない考えが出てきて戸惑うこともありますが、これが何とも楽しいのです。全く新たな視点を与えてくれることもあります。解答の方法は何通りもあります。自由に考えて結果に行き着けばよいわけです。
私自身が心掛けていることは、授業に教具や小道具を持ち込むこと、実験など実際にやってみる教材を準備することなどです。イメージを具体化することで、考える方向が見えてくると思います。9年生を例にして、いくつかを紹介します。
・等式の性質が分かる“てんびん”、“移項ダメ押し器”
・パッと見える2次方程式の解の公式
・関数の意味を考える“ブラックボックス”
・サイコロ、サイドタ(細長い直方体)を投げて確率の意味を考える
・5本中1本だけ当たりのくじを引く実験
・三平方の定理を図形的に知る“はめ板パズル”
とまあ、こんな具合に授業は進んでいます。授業は生徒と教師の共同作業でつくる作品ですが、何より私自身が楽しんでいます。生徒に感謝しています。
[線香の実験(写真)解説]
次の手順で進めます。
線香に火をつけ、台紙の0の位置に置いて焦げ目をつける → 台紙から上げて手で持っている → 1分が経ったら、台紙の1の位置に置いて焦げ目をつける
→ 台紙から上げて手で持っている → …(この作業を1分毎に行う)
この結果は、焦げ目がほぼ1本の直線上に並んでいます。線香の長さをy cm、時間をx分とすると、y=ax+b(a:燃える速さ・分速、b:最初の線香の長さ)の関係が成り立ちます。「1次関数」と呼ばれる関係です。
ライター/教員 市橋公生