2024.11.27
50枚のピザと縦横につながる学園コミュニティ
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.197 2024.11.27
10月のとある土曜日。
3年クラスでは「父と子の日」と称し、雨止まぬ悪天候の中、父親と子どもたちでピザとスープを作って食べる会を開催しました。
春頃に担任の先生より「お父さんと子どもで何かをつくる会をやりましょう」と提案があり、我々父親たちと先生とで相談しながら計画準備を進めました。
シュタイナー学園では、4年生の学びで「家づくり」があります。
毎年子どもたちがつくり上げる個性的な家を見せてもらうことは、私たち親にとって楽しみのひとつでもあります。
その家は次の学年が建てる場所に譲るため解体されてしまうことが多いのですが、2年前に卒業した子どもたちが4年時につくった家は今も校庭に残っています。
それが屋根のついたピザ窯です。
「ずっと残してもらえる家をつくりたい」という思いで彼らがつくった立派なピザ窯は、校舎を見守るように今も残してあります。
しかしそのピザ窯は使うのが難しいとの情報もあり、なかなか使われる機会がないのが現状で、私を含め勿体なく感じている親も少なくなかったと思います。
今回の企画のために、以前ピザ窯を使った先輩お父さん方に、窯の試運転に立ち会い指導をいただいたり、ピザを伸ばす板や棒を特別に作って寄贈いただいたりと、様々な協力をいただきました。
一緒に何かをすることによって、お互いのまだ知らない一面を知る機会がもてたことは、私自身とても嬉しいことでした。
火の扱いに長けている人、いい薪を提供してくれる薪ストーブユーザー、窯用の赤外線温度計や様々なアウトドア道具を持っている人。
皆で知恵と道具を持ち寄り、適材適所それぞれが黙々と仕事をしてうまく作業が運びました。
父たちの見守りのもと子どもたちはとても張り切り、各家庭で作ってきたピザ生地を伸ばし、持ち寄った野菜などを切って盛り付けました。
特大ピザやミニミニピザ、チーズだらけのピザなど個性豊かなピザが次々と誕生し、全部で約50枚ものピザが焼き上がりました。
卒業生が残してくれた窯で焼いた手作りピザと、持ち寄った材料で作ったあたたかいシンプルな野菜スープは、格別でした。
今回参加されたお母さん方にはお手伝いやアドバイスは一切ご遠慮いただき、また別の視点で父と子の姿を見られる機会になったのかもしれません。
上げ膳据え膳で母同士美味しいピザでゆっくり語らうことができてよかったと、お褒めの言葉もありました。
普段忙しい父親同士、なかなか顔を合わせない人もいますし、皆が揃い語り合うことはさらに貴重です。
こうして一緒に手や体を動かし、火を囲んで仲も深まり、子どもたちとゆっくり向き合える豊かな時間を過ごせました。
子どもたちが学びの過程で残してくれたものが、こうして後になっても大人たちをつなげてくれるのだと思うと、あらためてこの学園というコミュニティに参加できていることの喜びを感じます。
シュタイナー学園での12年間、同じ仲間と学び成長していく子どもたちと同じように、我々親たちも先生たちと学校をつくり支えていくことを通じて自分自身が成長できるチャンスを与えてもらっています。
皆で学園を支えていくためには、父親同士の横と縦のつながりが大切だと、先輩お父さんたちとのお話の中でもうかがいますし、私自身も常日頃から感じています。
これからも、共に語り共に働く機会を大切にし、親たちの絆を深め、この学園を豊かに育てていけたらと思います。
ライター/保護者 松村 剛