学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2025.02.19

教育

週末クラス《もりのね》

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.203 2025.2.19

◆シュタイナー学校以外の子どもたちにも、シュタイナー教育の場を
森の奥から微かに聞こえてくる、美しいひびき———。耳を澄ましたとき、心はもう森の中へと飛んでいます。 《もりのね》は、森の音を聴くように、子どもたち自身が心の耳を澄まして新しい世界に出会っていく、そんな場でありたいと願っています。 
 
シュタイナー学園週末クラス《もりのね》は、シュタイナー教育の特色ある授業を月2回、週末に開催している小さなクラスです。シュタイナー学校に通っていない子どもたちにもシュタイナー教育を受けられる場をと、故・木村義人先生の尽力の元、2022年に誕生しました。 
 
初年度は1年生1クラスから始まり、現在は2年生と3年生の2クラス13人の子どもたちが通ってきています。立ち上げ当初はエポック授業だけでしたが、やがてオイリュトミーの授業もできるようになり、今年度は手の仕事の授業も加わりました。そして、来年度は新たに学年を増やそうと、新1年生の募集を開始しています。 
 
◆緑に囲まれた空間、自然の中での学び
現在《もりのね》は、元々は別荘だったところを学園にご寄付いただいた「風光山荘」と呼ばれる一角で開講しています。自然豊かな庭は子どもたちも大好き。やってくると、まずは庭でひと遊びです。今の時期はどの子も池に張った氷に夢中。透き通った氷のかけらを手に取っては、冷たさも忘れてじっと見入ったり、大きな氷を取ろうとあれこれ工夫したり、ワイワイしているうちに講師がハンドベルを鳴らし授業が始まります。
 
みんなで歌ったり詩を唱えたり、たくさん動いて体を使ったりしながら授業が進みます。「今日は何をするのかな?」とわくわくした目で講師を見つめる子、意欲的に向かう子、なんとなくみんなのところに集まる子、その子その子のありようが微笑ましいです。お手玉を使った動きにチャレンジしたり、美しい音のひびきや、シルクの布のたゆたう様にうっとりしたり、楽しいゲーム遊びに盛り上がって「もっとやりたい〜!」とおねだりしたり。フォルメンで心の中にも動きが生まれ、水彩の絵の具のにじむ様子に深呼吸して、素話に食い入るように聞き入って…。

授業が終わると、子どもたちはまた庭へ駆け出して、すぐに鬼ごっこが始まります。池の周りの虫に見入る子、草花で遊ぶ子、庭の中で思い思いに安心して遊べるのも、《もりのね》の魅力です。
 
また、ろうそくづくりやアドヴェントなどの祝祭行事、川遊びや遠足など、藤野の自然の中での活動も積極的に行っています。今年度は羊の毛刈りを体験する機会にも恵まれました。子どもたちは、羊の大きさ、温かさ、脂の乗った毛の匂いや手触りなど、生き物に直に触れあうおおらかな自然界との交わりがありました。そうしていただいてきた羊毛は 、手の仕事の授業で、洗って 、干して、染めて、紡いでいきました。自然は最大の教師、子どもたちは全身の感覚を研ぎ澄まして自然を感じています。(野外活動は年度や学年によって内容が違うものもあります)
 
◆「私」を育てるシュタイナー教育
シュタイナー教育の授業の中で、静けさに耳を澄まし深く呼吸することは、子ども自身がまだ気づいていない「私=自分」の核をしっかりとつかまえる行為に繋がっていくように思います。森のように健やかに子どもたちの根っこを育てる栄養になることを願って《もりのね》は活動しています。

ライター/《もりのね》講師代表 黒瀧るみ子