学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2025.04.02

保護者

1年目の学園生活 〜生きることが学びになるとき〜

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.206 2025.4.2

内なる声に導かれて
新しい春を感じながら、1年目の学園生活を振り返る。 家族とともに歩んできた学園の日々。 娘が喜びの中で学び、成長していく姿。 そして、藤野という地域とともに、私たちの暮らしが根付き、広がっていく実感。

あの日、娘の入学式。 すべての学年が輪を作り、1年生をあたたかく迎え入れる。 その中心に、少し緊張しながらも希望に満ちた眼差しで立つ娘の姿。 学年、先生、保護者を超えて祝福し、支え合う文化。 その場の空気に、シュタイナー学園の精神が宿っていると感じた。

「パパ、見て!」 初めて文字を書いた日、娘が誇らしげに見せてくれた小さな文字。 そこには、学ぶことへの喜びが詰まっていた。 数を学んだ日も忘れられない。「1と1を足すと2になる!」 数が増えたり減ったりすることに驚きながら、世界が少し広がった瞬間だった。

四季のなかで、娘は多くの出会いと体験を積み重ねていく。 土に触れ、森の中を歩き、風や木々の声に耳を澄ませる。 「今日ね、すごいことがあったんだ!」 そんなふうに家族に話す娘の姿に、学びが生きる喜びとともにあることを感じる。

学園の先輩たちがつくる劇やパフォーマンス。 それは単なる観劇ではなく、学びが形となり、結晶化する瞬間だった。 言葉を超えた表現が人の心を動かし、新たな気づきを生む。

そんな一つひとつの出来事が、この1年の思い出として、今、脳裏を駆け巡る。

消費ではなく、創造する暮らしへ
娘が学園で世界を広げていくように、私もまた、この地域で新たな出会いを通じて、自分の生き方を見つけてきた。 そのひとつが「虫村(バグソン)」という場だ。

虫村は、藤野の森に近い小さな実験的なコミュニティ。 ここでは、「この人のために何かしたい」「この場に何かを還したい」という想いが、関わる人と人をつなげている。

住民同士で森に手を入れ、里山を再生しながら暮らす。 畑を耕し、雨水を利用し、森の恵みを薪にする。 「生きること」を消費ではなく、創造するものとして捉えなおす場所。

かつて東京で暮らしていたころ、日々の生活は消費によって成り立っていた。 でも、ここでの日々を通して、暮らしそのものが創造になり得ると気づかされた。

娘が学園で学ぶように、私もまた、この地で学び続けている。

学園で出会った仲間とつくる地域の場
この1年で、学園で出会った仲間たちと新たに生み出した場がある。

藤野駅前に、この4月にオープンする「カドナリ」。 カフェとイベントスペースを兼ねたこの場所は、 人と人、人と地域が交わる「結び目」となることを目指している。 地元の食と表現が出会う場として準備を進めている。

そしてもうひとつ。 かつて私たち家族が暮らしていた家をリノベーションし、 学園の仲間が写真館兼エステサロンを始めてくれた。 人々の人生の節目を記録し、身体と向き合う場へと生まれ変わる。

学園での出会いから生まれたアクションが、暮らしと地域との関わりをより深めてくれている。

生きること、そのものが学びになるように
教育は、学校の中だけで完結するものではない。 家庭があり、地域があり、そのすべてが折り重なり、子どもたちの学びを育む。

藤野という土地に根を張ることを決めたとき、 私は、ただ住むのではなく、この地域に「関わる」ことを選んだ。

子どもたちがここで育つのなら、大人である自分たちも、この土地で学び、変わり続ける存在でありたい。

こうして、娘と私、それぞれの学びが、互いに影響を与え合いながら、 ふたつの螺旋のように絡み合い、人生を編み続けている。

この1年もまた、学園の入学を機に、その螺旋のうねりが大きくなった年だった。

地面に積もった落ち葉の間から、小さな葉や花が顔を出す春。 また新しい1年が始まる。 その営みが、どんなふうに私たちを導いていくのか楽しみだ。

ライター/保護者 中村真広