2018.09.12
何でも自分でやってみること、前向きに物事に向き合うこと
卒業生コラム 第14期生 大坪メイさん(後編)
【大坪メイさん】
デザイン事務所KIGIのデザイナーとして活躍されている大坪メイさん。前編ではもの作りが大好きな幼少期から外部へ進学した高校生活についてお聞きしました。後編では希望していた美術大学に進学しデザインを学び始めた頃から現在に至るまでのお話をお聞きします。
小中学校から高校まで学校が大好きだったとおっしゃていましたが、大学生活はどう過ごされていましたか?
大学でも変わらず学校大好きで(笑)でも学校以外の場も大切にしていました。大学3年生の時からインターンとして今の事務所に通っていました。KIGIのデザインが好きだったのですが、少数精鋭の小さい事務所でデザイナー募集が出たりすることはまずないだろうなと思っていました。なのでレセプションに行ってインターンかバイト募集されてませんか?と自分から話かけたんです。それでインターンだったら来てもいいよ、と言ってもらえて通いだしました。
度胸があったんですね!
インターン時代はデザイン業務というより展示の準備なんかのお手伝いをしていました。4年生になって周りが続々と就職活動を始める中、デザイナーとして入れるかは解らなかったので不安はあったのですが、通い続けていたら『うちに入る?』と言ってもらえて。嬉しかったですね。
そうしてデザイナーとして働かれて3年目だそうですね。
今、事務所にデザイナーは5人くらい。グラフィックを中心に、プロダクトの制作や、お店の運営、展示やイベント等、業務が多岐に渡る事務所なのでとにかく忙しい。でも自分の強みだとも思うのですが、手を動かすことが苦にならないんです。たとえ膨大な作業でも出来ない、と思うことはありません。それは小さい時から何でも自分で作るということを学んできたシュタイナー教育の影響もあるんじゃないかと思っています。
賞も受賞したメイさんの卒業制作は高さ2.5メートルのクロスステッチ作品で、そのクロスステッチはまさにシュタイナー学園で習った技術でもあったそうですね。
記憶と記録をテーマにした作品で、記録としては残っているけど自分の記憶には残っていないということを表すために自分の生まれた日の新聞や幼い頃の写真をクロスステッチで縫い上げました。覚えていない部分はぼやけて見えるように、覚えている部分は細部にわたるまで細く、といったよう刺していき作ったのですが、その卒展はシュタイナー学園の先生も見に来てくれたんです。
卒業後も交流が続くのはすごいことですね。
今でも毎年年末にはクラスで集っていて担任だった木村先生もいらっしゃいます。12年間通った子もわたしのように途中で外部の学校へ進学した子も、久しぶりに会ってもなんの違和感もなく話ができる、そんな関係の人たちです。
メイさんにとってシュタイナー教育とはどういったものでしょうか?
無意識に自分の基本になっているものでしょうか。何でも自分でやってみること、前向きに物事に向き合うこと。学園で育ててもらったそんな部分が、もの作りに取り組む今のわたしに繋がったと思っています。
訪れる転機のたびに、躊躇せずごく自然に、自分を信じて道を切り拓いていったメイさん。やりたいと思ったことにまっすぐ向かっていく力、自分で動き、出会い、実現していく力の大切さを感じさせてくれるメイさんのインタビューでした。デザイナーとしてのメイさんの今後がたのしみでなりません。
ライター/中村暁野