2019.03.05
すべては『子どもたちのため』のことなんだな、と思える意義を感じられる仕事が出来るのはうれしい
保護者インタビュー 越野美樹さん(後編)
【越野美樹さん】
お子さんのシュタイナー学園への転入をきっかけに藤野に移住をした越野美樹さんのお話の後編をお送りします。もともとお惣菜屋さんをしながら野菜の力を活かす料理教室を開いていた越野さん。藤野の暮らしの中でご自身の意識に大きな変化があったという前編に続き、ここで築いた新しい働き方やこれからについて伺いました。
藤野に暮らして1年半はレシピを考案するライターをしながらお料理教室をされていたと聞きました。
藤野の観光協会を通じてイベントのお弁当を出したり、ビオ市という隔週で開催されているオーガニックマーケットに出店をしたりしながら定期的に野菜の料理教室を開いていましたが、日々の生活は食事を作る以外の時間はずーっとパソコンに向かい記事を書く、というような生活でした。藤野での暮らしに満足しているからこそ、その働き方はどうなのかな、という思いも湧いてきました。
学園でも活動をされていますね?
学園の仕事はそれがどんな内容であっても、『子どもたちのため』とみんなが思いながら働いているんですよね。もちろん学校の運営のため、シュタイナー教育のため、でもあるんですけれど、それもすべてはやっぱり『子どもたちのため』のことなんだな、と思える。そんな意義を感じられる仕事が出来るのはうれしいことだな、と思っています。
お料理教室は今も開催しているんですよね?
私自身、働きながら毎日娘と自分のお弁当を作っていて思うのですが、世の中のお母さんって本当に忙しいし、だからこそ時間をかけずに美味しいものを作って食べてほしいと思うんです。子どもって実は美味しいものに正直で、うちの娘も旬の大根は大喜びで食べるけれど、旬をすぎた大根は全然食べない。『うちの子はこの野菜が嫌い』と思っていても料理の方法や切り方を変えただけで食べるようになったり、小さなことがきっかけで料理って楽になったり楽しくなったりする。そんなことを伝えられたらと思っています。毎回5〜8人くらいで開催する小さな料理教室なのですが、リピーターの方が多く、みなさんから『次はこんな料理を教えて欲しい』とリクエストいただいて、今も時々ですが開催しています。
藤野に来て、たくさんのことが変わったと思いますが、今後描かれていることはありますか?
ここに来て、周りの方と自然と助け合える暮らしができて、人の為になることをしたいと思うようになりました。人の為に何かをすることは、自分が気持ち良く暮らすことにも繋がっていくんだな、と思えた。藤野はそんなことを思える面白い場所だと思います。いつかそんな藤野の魅力を伝えられるような本を作ってみたいなという気持ちがあります。面白い人がたくさんいるのも藤野の魅力なので、そんな方々と一緒にどんな形や内容がいいのか、あと5年くらいかけてゆっくりと考えていけたらいいな、と思っています。
お子さんの学校のために藤野にやってきたことで、思いがけずご自身の新しい道が広がり、進んでいらっしゃる越野さん。暮らしの変化が働き方や生き方にも変化を生んでいく様子が印象的でした。越野さんの「これから」のお話が楽しみです。
ライター/中村暁野