学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2019.12.11

卒業生

先生と生徒、保護者のみなさんと生徒。人と人との距離が親密で、物心ついた時から、温かさや優しさを感じながら過ごしていました

卒業生コラム 第18期生 横山海夢さん(後編)

横山海夢さん】
現在早稲田大学スポーツ科学部に在学している横山海夢さんは、シュタイナー学園第18期卒業生。横浜のシュタイナー学校卒業後、高校1年生にあたる10年生から、藤野にあるシュタイナー学園に転入し、卒業までを過ごされました。現在、シュタイナー学園在学中も夢中で取り組んでいたスポーツに関わる学びを深めながら、来春からは海運業界の企業への就職が決まっています。前編ではシュタイナー教育との出会いや、子ども時代の思い出について伺いました。後編では高等部に入ってからの学び、進路を決めそこにむかって努力した末の大学生活について伺います。

前編はこちら


高等部の学びで印象に残っていることはありますか?

先生方がそれぞれの分野でプロフェッショナルで知識豊かな方ばかりで、授業自体がとても面白かったです。わたしは特に世界史が大好きでした。教えてくださった栁澤先生は、ひとつの事象に対しても、ただ事実や年号を教えるのではなく、そこにつながっているさまざまなことを教えてくれ、なぜこういうことが起こったのか?と考えられるような授業をしていました。高等部は実習も多く、ヨットに乗り、船ですべての移動を行った2泊3日の航海実習は、自然のダイナミックさを体感した忘れられない経験です。また。11年生の福祉実習では、ひとつの施設にひとりで3週間、実習に行きます。わたしは保育園に行ったのですが、この実習を通して人と人が関わることの意味や重さを感じることができました。

子ども時代から取り組んでいたスポーツは続けられていたのでしょうか?

ずっとラグビーを続けていて、関東選抜に選ばれたり、高校時代は神奈川県代表として世界交流大会にでたりもしていました。同時に10年生で転入してきた当時から、早稲田大学に進学したいという目標を持っていたので、そのための勉強もしていて、高校時代は実はとても多忙でした(笑)。

どうして早稲田大学に行きたいと思ったのですか?

幼い頃から大学ラグビーの観戦をする機会があり、早稲田ラグビーへの憧れがあったんです。最初のきっかけはそんなところで、その後実際に学部を調べたり、私がラグビーをしていたこともあって大学の方と接する機会があるうちに、早稲田大学に絶対進学したい、という気持ちが強くなりました。10年生(高校1年生)になった頃から通学時間に英単語や英熟語の勉強をし、11年生(高校2年生)の終わり頃から模試を受け、準備をはじめました。

とくに予備校などには通わなかったのですか?

シュタイナー学園の課題だったり実習だったり、12年生の卒業プロジェクトだったり、演劇だったり、そういった特別なプログラムにちゃんと向き合いたかったし、楽しみたかったんです。予備校に行くと課題や講習でそれが難しくなってしまうと思ったので、自分でやるべきことを父に相談しながら組み立ててやっていきました。そうやって自分で決めた軸を持ちながらも、受験勉強で行き詰まっている部分は学園の先生方にアドバイスをもらうこともありました。毎日自分が決めたことをやりきりながら1日1日を過ごす大変さはありましたが、結果、学校での学びも楽しめたし、いろいろな行事も最後まで楽しんで学校生活を送りました。

そして希望していた早稲田大学スポーツ科学部に一般入試で無事合格されたのですね。

入学後は学業に向かいながら、早稲田大学ラグビー蹴球部に学生トレーナー(選手の身体の状態管理や怪我のリスクマネジメント、また選手がより良い状態で練習や試合に臨めるように常に身近でサポートする役割)として入部しました。部活を通して、こんなにも人と深く関わったことはなかったと思える日々を過ごすことができ、ここで得たものは自分の一生の宝だと思っています。現在4年生で、春からは海運の企業に勤める予定です。

早稲田大学ラグビー蹴球部に学生トレーナーとして入部

就職はどのようにして決めたのですか?

人の生活に欠かすことのできないことに携わりたいという思いがあり、航空や鉄道、貿易に関係する企業で働きたかったのです。海運は運輸の95%を占め、日本の生活に必要な物資の物流を担っています。大きな船を使って世界の国々と仕事をするスケールの大きさ、ダイナミックさにも魅力を感じ希望しました。

最後にシュタイナー教育で得たと思うものはなんでしょうか?

人に対する信頼感でしょうか。先生と生徒、保護者のみなさんと生徒。人と人との距離が親密で、物心ついた時から、温かさや優しさを感じながら過ごしていました。そのおかげで人に対して不信感を持たず、どんな人とも接することができるようになったと思っています。また、生徒それぞれが、それぞれにやりたいことをできる環境の中で、わたしも自分のやりたいことに向かってまっすぐ突き進んだおかげで、今があると思います。


好きなこと、やりたいことに対してぶれることなく、意志と実行力を持ち、自分が決めた道へと進んできた横山さん。これから社会に出ても、目標や目的をもち、そこに向かって、きっと力を発揮されていくことでしょう。今後の横山さんのご活躍を楽しみにしています。

ライター/中村暁野