学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2022.07.20

保護者

子どもの一歩、家族の一歩 ~移住してきた父より~

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.137 2022.7.20

我が家が藤野へ移り住んできたのは、いま4年生の息子が1年生で入学する春でした。シュタイナー教育や学園のことはずっと前から知っていましたが、いざ我が子が小学校入学目前となったとき、このまま公立の学校に入れるのか、それとも学園入学をさせるのか、夫婦で何度も話し合いました。結局、知ってて行かずに後悔はできないよねと移住を決意。うちは私のほうが学園に入れたいと積極的に動いていたほうではありますが、とは言いつつも仕事は大丈夫だろうかなどと不安になっていた私に、「まぁ行ったら行ったでどうにかなるんじゃない?」とかけてくれた妻のひと言が、最後のひと押しとなりました。
 
我が家は四国からの移住です。藤野は親戚もいなければ、仕事関係の繋がりも全くない、いわば縁もゆかりもないところ。家族の移住、子の入学、そして自分の転職。一度にすべてがやってきます。しかも、当時まだ0歳の子も一緒です。遠方からなので、家を探す時間や就職先を見つける時間も限られています。コロナ禍以前でしたが、可能な限りオンラインで済ませられるものは済ませ、仕事も家も、あまり悩んでいる暇はありませんでした。
 
四国では車やバイクでの通勤でしたが、こちらでは電車通勤に。私は中央線に乗り都心まで行く勇気がなかったので郊外で仕事を見つけましたが、意外と多くのお父さんが都心へ通勤されています。藤野からだとほぼ確実に座って通勤できるので、満員電車のストレスも少ないようです。私は電車では読書をしていますが、すぐに着いてしまうため、もう少し遠くても良かったかもと思う始末。
 
心配していたのは子どもへの影響です。すぐ近くに親戚や友達もたくさんいたのに簡単には会えなくなること。言葉も違ったり、知ってる子がいなかったり、そんな中で馴染めるのだろうか。親が勝手に決めたせいで、子どもに辛い思いをさせないか、不安に思うことはたくさんありました。が、振り返って思うのは、全く何ひとつなかったとは言えませんが、彼は彼なりに頑張ってうまく馴染んでくれたので、そんな心配は要らなかったということです。子どもの順応性はもちろんですが、この学園、そしてこの地域の先生や先輩保護者の方々が、いろんな形でサポートしてくださいました。
 
我が家は昨年、藤野からお隣の町、山梨県上野原市に移り住みました。上野原も藤野の生活圏内です。スーパーやホームセンターが駅前にあり、藤野より平坦な土地もいくらか多く便利、かつ里山暮らしも味わえるところです。最近は、藤野に物件が少ないこともあり、上野原市や相模湖町など、もう少し範囲を拡げて住まいを見つける方も増えてきています。いずれにしても、この里山で生活することは、子どもにとって、そして私たち親にとっても、豊かな暮らしを味わい、太陽と大地の恵みに感謝し、自然を敬うことに繋がります。
 
学園の入学、家族での移住、ご自身の転職等でいろいろお悩みの方もいらっしゃるかとは思いますが、お父さん、お母さんの一歩が、お子さんの一歩、家族の一歩に繋がります。そしてそれは、しっかりと大地を踏みしめ天へと繋がる、光あふれる道への第一歩であることと思います。

ライター/保護者 髙木大輔