学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2023.06.21

教育

子どもたちの今と未来を垣間見る学期祭

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.160 2023.6.21

各学期の終わりに行われる「学期祭」。1年生から12年生までが集い、子どもたちがその学期に学んだことを様々な形で発表します。シュタイナー学校の特長のひとつでもある学期祭とはどんなものか、根岸初子先生にお話を伺いました。


学期祭は、もとはドイツのシュタイナー学校で行われていた「月例祭」を参考に、シュタイナー学園の前身である東京シュタイナーシューレ時代から取り入れていました。月例祭という言葉の通りドイツでは毎月行われたようですが、それは私たちには難しいので学期毎に行ってきました。つい最近までは、取り入れた当初のまま、「月例祭」と呼んできましたが、学期ごとに行う実態に合わせて「学期祭」と呼び方を改めました。

発表といっても、たとえば朝の詩や、九九を唱えることだったり、笛の演奏や朗誦だったり、日頃それぞれのクラスでやっていることを、他のクラスの子どもや保護者に見てもらうというものです。高等部になると何を発表するか生徒たち自身が考えることもありますが、劇のように毎日練習を重ねて仕上げるものとは違います。ですから、うまくできなかったら「もう一回やってみましょう」と最初からやり直し、ということもありました。また、担任の授業からだけではなく、オイリュトミーや外国語の授業、音楽などの専科の授業からの発表もあります。

今の校舎に移る前、三鷹の東京シュタイナーシューレの頃は広い場所がなかったので、近隣の公会堂などの公共の施設を借りて行っていました。藤野に移転し体育館を使えるようになったことで、12学年の子どもと教員、保護者全員が他のところを借りなくても集えるようになりました。学校の見学希望者や学校を支援してくださる方など学外の方にも見ていただくようになり、一般公開するようになりました。

シュタイナー学園には一般的な授業参観はありません。それでもやはり、子どもたちが何をどう学んでいるのか、日ごろの子どもの様子を見たいというのが保護者の思いだと思います。学期祭は授業参観に代わって、保護者が子どもの学びの様子を見る機会でもあります。教員たちも、学期祭を通して他のクラスの様子や自分が担当していないクラスの子どもたちの姿を知ることができます。

子どもにとっても、初・中等部と高等部はふだん別の校舎にいるので、12学年全員が集まる学期祭はとても貴重です。小さな子どもたちにとって高等部のお兄さんお姉さんは憧れを持って見上げる存在ですし、大きな子どもたちは小さな子の姿を見て「自分たちもあんな感じだったな」と振り返っています。

すべての学年の発表を見ることで、この学園で過ごす12年間の成長の過程を感じることができます。特に低学年のうちの学びはゆっくりしたものなので、保護者の方は心配になることもあるかもしれませんが、高学年の頼もしい姿を見ると、子どもの未来を思い描くことができます。我が子以外の子どもたちが成長していく姿を見るのも学期祭の良さです。

時間にすれば1学年10分に満たない発表ですが、1年生から12年生までの学びの全体像を見られるのは学期祭の大きな特徴です。子どもたちの今、そして未来の姿を垣間見る、そんな機会になっています。

コロナ禍では大勢で集うことができませんでしたが、じょじょに子どもたち全員、そして保護者全員が集まれるようになってきました。一般公開は中止となっていますが、再開を楽しみにお待ちいただきたいと思います。

お話/教員 根岸初子