学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2024.06.12

保護者

きっかけは青山学院大学 出張講座 「学ぶ」とは?

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.185 2024.6.12

現在8年生の娘は、当時シュタイナー幼児教育を実践する幼稚園の年長さんでした。私はそれまで、シュタイナー幼児教育で最初の7年間、心と身体の基礎を育むことが出来れば十分だと思っていました。
 
当時暮らしていた地域の小学校に通うことにも迷いはありませんでしたので、学園のオープンデイに行くこともしませんでした。オープンデイも願書配付会も他人事で、その時期が過ぎた頃、表参道の青山学院大学で学園の出張講座「大人のための体験授業」があることを知りました。その時、久しぶりに街に出かけるための理由づけで参加したのが正直なところでした。
 
初夏のお出かけ日和。体験授業は響きの音楽と高等部の社会科でした。
耳を澄まして響きをお互いに届け合うという音楽の体験、社会科は「歴史」で机上での授業でしたが、その歴史と自分の身体が繋がったときの驚きを今でも覚えています。
何より私たちの前に立つ先生が、教えるその内容に自らも驚きや喜びを持っていることが感じられ、このような先生に教わることができるのだと思い、印象的でした。
 
体験授業を終えて、一冊の本を購入して帰りました。それは学園が発行した「シュタイナー学園のエポック授業 ー12年間の学びの成り立ちー」でした。
これから就学する娘がもし学びの中で立ち止まってしまった時、シュタイナー学校ではどのように子どもを観るのかを知り、親の私が何か働きかけられることがあるのか、のヒントをこの本からもらえたらと思ったのです。
 
この本は、1年生から12年生までそれぞれの特徴的な科目を取り上げ、当時の担任の先生や専科の先生がエポック授業の実践を記述したものでした。
どのような視点を持ち、何を大切にしているのか、また学年を経て繋がる学びのこと、子どもの成長発達に学びがどういう意味を持ち、成長の助けになるのか、そのプロセスと学園の教育を少し知ることができました。
 
そして私は、[第八章 8年 理科 人間学]の文章の中に、「学ぶ」ということへの気づきと強い共感を持ち感動したのです。
 
『1年生から12年生の学びでは(中略)総合的にそして基本的に、学びの根本的問いはひとつだ。それは、「自分とは何者なのか?自分が住む世界はどうなっているのか?そして自分は世界とどう関わるべきなのか?」ということだ。』
 
わが子がこれから周りの世界を知っていくことが学びであり、先の文に続く『「よい進学校に進むため」でも「将来自立して沢山お金を稼げるようになる知識と技術を与える」でもなし、「社会でより良い地位と名誉」を求める為でもない。』という当たり前のことに気づくことができ、同じ「学ぶ」なら、その時間やプロセスをこの教育とこの学園の先生たちから学ばせてもらえたらと、入学を希望することになりました。
 
ご縁をいただき現在に至ります。
娘は心と身体と手足を存分に動かし、このごろは思考し、身体も成長して、自分の世界を少しずつ拡げています。自分自身と自分の周りの世界・人を信頼しているように見えます。
親として感謝する日々です。
学園を卒業し、その先の世界へ一歩踏み出していく、その後ろ姿を見る日が来るのを楽しみにしています。

ライター/保護者 朝吹恵子

*青山学院大学での出張講座など学園の年間行事予定はこちらをご覧ください。