学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2024.07.24

教育

生き生きとした学びを体験する

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.188 2024.7.24

シュタイナー学園では、アクセスの良い都心での出張講座を行っています。6月の青山学院大学での講座では、子育て中の方、学生、教育に関わる方など様々な背景をもつ参加者が、シュタイナー教育の特徴的な芸術科目、「オイリュトミー」「フォルメン」を体験しました。


オイリュトミーの授業では、まず足裏の感覚を意識するため硬い靴は脱ぎ、全員で大きな輪を作ります。自分の中心を意識して光の柱のようにまっすぐに立つことから始まり、次に腕を開いたり閉じたりと翼のように動かしながら、全員で輪の中心へ向かったり、戻ったり…すると輪全体が呼吸を始めます。

「空間を、隣の人を、自分を感じます。綺麗に動こうと思わず体験を大切にしてください」。初めて体験する方も先生の言葉を聴きながら動き、段々と呼吸が合い、まるで大輪の花が閉じたり開いたりするように見えます。
 
慣れてきたところで先生は、「“あ”の音を出し喉の震えを感じてみましょう」、と喉に手を当てます。感じた動きを全身で表してみるように促され、多くの人が手や腕を開いていきました。

「喉で起きている動きを、身体全体で表現するのが言葉のオイリュトミーです」という説明とともに、母音「あえいおう」それぞれの音を表す動きを教わりました。そして先生が唱える詩を聞きながら、母音の響きを動く「言葉のオイリュトミー」に挑戦。
 
「子どもたちに“詩の響きを表現しましょう”と声をかけると、ただ手足を動かすのではなく、一つひとつの仕草をとても大切に動きます」。「子どもに何かを伝えるときはイメージに働きかけます。全員で輪を作るなら、低学年では“まんまるなお月さまになあれ”と言ったりします」。教育的なお話や質疑も交え、たっぷり動いて体験を終えました。
 
続いては、英語で「Form drawing」と呼ばれる「フォルメン」の授業です。今回は文字に発展するフォルメンを体験します。
 
まず物語を聞きました。ある男の子が蛇の神様と出会い、文字を書けるようになっていくお話です。お話の後、物語に出てきた波の動きを、指先から腕全体を使って動いてみます。次に参加者全員がリレーで波の動きを伝えたり、ひもを波打たせたり、リボンをくるくると回して形を描いたり…色々な方法で波の動きにアプローチし、ようやく席に座ります。

「これから線を描きますが、線にダイナミックさ、命を与えたい。自分が動いたり遊んだりして、この感覚を身につけていくのです」という先生の言葉に、参加者は納得の表情です。
 
一筆書きする、戻らない、書き直さない、などのルールを伝え、参加者は先生の描いた波型の線を手本に、画用紙の上でクレヨンを動かし始めます。立っても座っても、波のリズムを「ザップーン、ザップーン」と声に出すのもOK。ここまでの体験で身体も温まり、皆さん自由な姿勢で画用紙に向かいました。
 
「フォルメンのリズムには呼吸を正していく狙いもあります。呼吸が整うと、集中力や記憶力も増していきます」。全員が集中して描いた後、先生が波型や山型の線の中から「ひ」「も」などひらがなの形を取りだして、文字の学びへ繋がることを紹介しました。
 
「フォルメンでは植物や雲、波の形などを描きますが、描きながらそれらを形づくる力の働きそのものを感じます。時には足指でクレヨンをつかんで描く。もちろんおかしな形が描けてみんなで笑いますが、失敗を楽しむような体験も教室でたくさんします」。

体験後は、「単なる体操や作業ではなく、感情があり生きている実感がわき、芸術的で心豊かな時間だった」「どの授業も呼吸を大切にし、手や体を動かし、そして心をこめることで形になって現れているとわかった」「線に文字を見つけた時、驚きと幸せを感じた」といった感想をいただきました。

シュタイナー教育の「生き生きとした学び」「芸術的な学び」を感じていただけたのではないでしょうか。

※今後の講座など学園の行事予定はこちらのページをご覧ください。