学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2025.03.19

卒業生

学園の音楽、オーケストラとの出会いがあったから、 今の道にも出会えた

卒業生コラム 19期生 西田歩夢さん(後編)
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.205 2025.3.19

シュタイナー学園卒業後、国立音楽大学でチェロを学び、現在国立音楽大学非常勤講師としてチェロを教える傍ら、チェリストとして活躍されている西田歩夢さん。シュタイナー教育を通して音楽に出会ったという西田さんに、学園時代のことから現在までのお話を伺いました。

前編はこちら



念願のオーケストラに入り、クラスでもアンサンブルをされていたと聞きました。

中等部の集大成、8年劇ではオーケストラを指導してくださっていた先生が音楽を作ってくださり、劇中音楽を演奏しました。その頃、進路について考え音楽大学附属高校の講座を受けたりもしました。音楽高校に行くか悩んだのですが、シュタイナー学園の高等部では農業実習や航海実習など、様々な実習があるのです。それを経験したいという思いがありました。音楽が大好きだけれど、シュタイナー学園の学びも好きだった。音楽の道に進む前にいろいろな世界に触れてみよう、とシュタイナー学園の高等部を選びました。

高等部ではどんなことを学ばれたのですか?

実習はとても楽しかったですし、オーケストラ以外にもバスケ部、バドミントン部、選択授業では茶道と、興味があることにたくさん向き合えた時間でした。部活は基本週に1回の練習で、いろいろなことをやっても無理なく、楽しくできるのです。音学大学に進学したいと思っていたので、高校1年生にあたる10年生の時から必要な学びを積み重ねていました。12年生の時は、卒業プロジェクトや卒業演劇、卒業オイリュトミーと力を入れる課題に向き合いながら受験の準備も行っていましたが、すべて好きなことだったのでそんなに苦はありませんでした。そして国立音楽大学に進学しました。

どんな大学生活でしたか?

音大では、吹奏楽部の影響からか上下関係がしっかりしていました。シュタイナー学園で先輩後輩関係なく、学年を越えてワイワイやっていた環境だったので、びっくりしたこともありましたが、授業でもサークルでも学びたかったオーケストラについて深めていくことができました。

卒業後、音楽の先生になろうと思っていたと聞きました。

音大を卒業して演奏家の道に進めるのは弦楽器では1/3から1/4くらいの人たちです。教師になろうと在学中に教職をとったのですが、4年生の時にちょうどコロナ禍になり、オンラインの授業とレッスンばかりになってしまったのです。それでもう少し大学に残りオーケストラについて学びたいと思い、2年間オーケストラの授業とレッスンを受けられるアドヴァンスト・コースに進みました。その間に後輩のアンサンブルの授業に呼ばれるようになるなど、いろいろな場面で演奏をする機会に恵まれるようになりました。コースが終わった後は、チェロの授業補助をやらないかと声をかけていただき、大学に残り講師として教えるようになりました。

今、コンサートを企画して演奏会をしたり、学生たちとカルテットを組んだり、音楽で生きていく道をはじめることができました。この先は、プロのオーケストラ楽団に入りたいという思いがあるので、そこに向かっていけたらと思っています。

最後にシュタイナー教育で得たと思うものがあれば教えてください。

家族に音楽をやっていた人が誰もいなかった自分が音楽を好きなったのは、シュタイナー教育を受けていたからだと思っています。シュタイナー教育で触れた音楽の授業、学園のオーケストラ。その出会いがあったから、音楽を好きになれた。自分を今の道に出会わせてくれたのが、シュタイナー教育だと思っています。



学園の学びの中で音楽の魅力に触れ、花開いた西田さんの表現の道。これからの響きを楽しみにしています。

ライター/保護者 中村暁野