
2025.04.16
高等部の留学報告会
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.207 2025.4.16
シュタイナー学園の高等部では、世界中のシュタイナー学校と3ヶ月間の交換留学をすることができます。生徒たちは興味のある学校へ自分で連絡を取り、交換相手を探します。高等部のあるシュタイナー学校は世界に300校程度。決まった留学プログラムがあるのではなく、行きたい、という気持ちを糧に自ら行動を起こすことで、チャンスをつかめるのが特徴です。今回は、高等部生徒の留学報告会の様子をお届けします。
2024年から2025年にかけての冬、10年生クラスから3名がフランス、アメリカ、ドイツへそれぞれ留学しました。相手側から交換希望が来たのに応えたり、言葉に興味を持っていたり、留学するきっかけは様々です。
生徒たちは写真をスクリーンに映しながら、国や住んだ町の特徴、留学先の学校や家族の様子などを紹介しました。料理の写真が出ると、報告を聞いている生徒たちから思わず「美味しそう!」という声が。基本的に留学中は交換相手の家にホームステイします。家族の一員として旅行などにも出かけ、現地の暮らしを満喫した様子が伝わりました。
フランス南部、アヴィニョンの学校では、部活動はなく、授業が日本よりも遅い時間まであったそうです。また、校内に保護者が運営する食堂があり、留学中にインターンとして仕事を手伝う機会がありました。
「食堂で働く人たちと言葉が通じないことがあっても、身振りで伝えあい、優しく受け入れてもらった。日常に日本語が全くない環境に行ってみて、自分がふだんいる状況が“当たり前”ではないと感じた。自分の中に閉じこもっている場合じゃない、と思い、自分の価値観や人生観が変わった」。
言葉や食生活などで大変な場面はあっても、楽しいことの方が多かったと振り返っていました。
アメリカ南部、アトランタへ留学した生徒は、留学先の生徒たちの自己主張の強さに圧倒されたことを話してくれました。グループ活動のテーマを決める討論では、「みんな怒っているように見えた」と戸惑ったようです。結果的にそれぞれの意見を少しずつ取り入れた活動になり、「日本人はもっと自己主張してもいい」と感じたそうです。
授業ではシェイクスピア劇にも取り組み、「一緒にものをつくることでクラスのみんなと仲良くなれた」といいます。大統領選挙の時期に重なり、支持・不支持を強く表明する看板が庭先に立てられている写真も紹介し、「日本では見ない光景で、地域ごとに支持がはっきり分かれていて驚いた」と、日本とは異なる政治文化を垣間見ることもできたようです。
ドイツ西部、レムシャイドへ留学した生徒は、街並みや食生活など身の回りにある日本との違いを観察して楽しんだ一方で、言葉がわからなかった点を反省としてあげていました。
「言葉がもっとできれば、現地の人とのコミュニケーションから得られるものが違ったと思う。けれど、言葉ができないからといって留学しないのはおすすめしない。少しでも興味があれば行ったほうが絶対に良い。視野が広がった」とアドバイスしていました。
異なる国に留学した3人は、それぞれ自分の世界が広がった実感を持って帰国しました。体験を聞く生徒たちにとっても、新たなチャレンジへの勇気をもらえるような報告会でした。