学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2021.03.17

保護者

シュタイナー学園の庭づくり

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.102 2021.3.17

季節は巡り、藤野にも春が訪れました。立春を過ぎ三寒四温を経て、気づけばスノードロップが白い雫のような花を咲かせ、ネコヤナギはビロードのような銀色の新芽を日に輝かせ春を告げています。これから小さな緑が次々と萌えだすことでしょう。

私が名倉校舎の校庭や花壇のお手伝いに関わり始めたのは2018年の夏からです。校庭環境を担う先生がたに声をかけていただいて、植物やガーデニング好きな数名の保護者が自然と集いました。初めてのミーティングで、シュタイナー学園の100年構想のなかにランドスケープのビジョンがあることを知りました。ランドスケープとは、景観であり、景観を構成する土地における資源・環境・歴史などの諸要素が構築する外部空間全体を指します。

シュタイナー学園のランドスケープを考えたとき、学園の外から訪れたかたが一目惚れするような景観に、そして学園に学ぶ子どもたちにとって手入れされ整えられた環境であること、また教職員や保護者にとっても楽しみがあるように、ということを共有しています。また藤野らしい周辺の自然環境や既存の植物との融合、さらには日本のシュタイナー学校らしさも表すことができたら。季節や色彩を五感で感じられ、学びに関連する植栽があり、そして将来的にはビオトープや養蜂、動物がいる環境などの視点も持って、豊かな景観と校庭を創っていけたらと想像はふくらみます。

2018年の秋、まずは玄関周りの花壇を整えようと学内に呼びかけ、集まってくれた保護者のかたがた子どもたちと先生みんなで、いくつかの低木の撤去をしました。小さな木とはいえ抜根するのはとても大変でしたが抜けた時は達成感がありました。そこに新しい土を入れて春咲きの球根を植え、花苗も植えました。その後も、教員室前の花壇はハーブガーデンで先生がたにハーブティーや香りを楽しんでもらえたら、1~3年生教室前には芝生を植付け、そこでお弁当を食べたり座りこんで過ごせる場所になったら、などと先生がたと相談しながら思いを込めて植栽しています。

池がある空間は手入れが必要な状態で、笹やススキが低木に入り込み、樹木も重なり合っています。そのような部分に手を入れつつも、学びに必要な樹木があり、低学年の子どもたちは陰に隠れたり、池にはおたまじゃくしや蛙、冬は凍ったら上に乗ったり氷で遊んだりと、子どもたちが親しみ体験する空間でもあるので、既存の場が生かされることも大切にしています。ここはどんな風に使われているのかな、日当たりはどうかな、どんな植物が合いそうかな、そんなことを感じ考えながら、普段は週に1日程度、登校後の朝の時間に草刈りや花がら摘み、整枝など日々の手入れをしています。

植物が好きでやり始めたらつい時間を忘れてしまう人、庭づくりの経験と知識があって具体的な提案をしてくれる人、家が学園の近くで長い休みには水やりに来てくれる人、剪定を担ってくれたお父さん、ご自宅の花苗を分けてくれる人、気にかけて手を貸してくれる人、今年度も新しい仲間が加わってくれました。そして手入れをしていると「ありがとう」「きれいになったね」と声をかけてくれる教職員や保護者のかたがた。そんなそれぞれの関わりが力になって、また植物を育む年月という時間が、これからもシュタイナー学園のランドスケープを創っていくと思います。

ライター/保護者 朝吹恵子