学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2021.09.15

教育

シュタイナー保育園が大切にするリズム

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.115 2021.9.15

高尾の武蔵野御陵のほど近くにある『シュタイナー保育園おひさま子どもの家』には、毎日子どもたちが笑顔で登園します。

お部屋に入ると、木綿、シルクの布や遊び紐、流木や木片、貝殻やサンゴなどの使い方が限定されていないおもちゃで、それぞれ想像力を働かせ、遊びはじめます。例えば、木片は車になったり、小人さんのすべり台になったり、お店の注文表になったり。

お片づけをすると、曜日によってライゲン(ファンタジーにあふれたリズム遊び)、「ひびきの時」(音楽療法)、オイリュトミー(音と言葉の身体芸術)などを行い、午前のおやつを食べた後、庭遊びや散歩に出かけます。お散歩は、武蔵野御陵を散策したり、陵南公園で体をいっぱいに使って走りまわったり。お庭では、セミの抜け殻に歓声をあげ、砂場でトンネルを掘ったり、おままごとをしたりとのびのびと遊びます。土の匂いや感触を味わいながらお花や野菜の種や苗を植えることもあります。

戸外活動の後は、待望の給食です。お散歩に行くときやお庭で遊んでいるとき、台所から良い匂いが漂ってきます。「いいにおい」「今日は何かな〜」「おなかすいた〜」と子どもたち。心も体も健やかに育つことを願って、健康で安心な素材の命をいただきます。メニューは曜日によって決まっていて、たとえば木曜日のおやつに麦おこしが出ると、給食に麦味噌汁が出るとわかる子もいます。

「ごちそうさま」をして歯磨きをしたら、「メルヘンの時間」です。日本の昔話やグリム童話等のお話を聞いたり、人形劇を見たりします。その後はお昼寝の時間。目覚めたら午後のおやつを食べ、帰りの会をして、それぞれのお迎え時間に合わせて降園準備をします。

毎日・毎週、活動や休息などの同じリズムが緩やかに繰り返されるなかで、子どもたちの健やかな呼吸が作られます。そして、子どもたちは少しずつ、次に何があるか予測できるようになります。保育者が「〇〇しますよ」などと言う必要がなく、子ども自ら行えるのです。このことが世界を信頼し、自らに自信を持ち、新しい世界に踏み出す子どもの強い自己肯定感を作ります。

また、大きなリズムのなかに、四季の祝祭があります。祝祭ではその季節に合った人形劇を「心の栄養」、旬の食べ物を「身体の栄養」ととらえ、毎年同じ時期に同じように繰り返します。子どもたち一人ひとりのお誕生日も大切にしています。日頃お仕事で忙しい保護者のかたも、その日はお子さんと一緒に園で過ごします。子どもたちが遊んでいる様子を見ていただいた後に、いよいよお誕生会。丸いテーブルを囲むように座り、生まれたときのお話を聞き、お祝いの歌を歌います。お誕生日の子は、生まれた日にも咲いていたであろう野の花や庭で育てた花の花束と、手作りのプレゼントをもらいます。そして、みんなで特別なおやつを食べます。

もうひとつ大切に思うことは、周りの大人たちがお互いを思いやり、信頼関係で結ばれていること。いつも学ぶ姿勢を持っていること。手本となり模倣の対象として「立つ」ということ。もちろん完璧な人はいませんが、日々努力をすることが大切だと考えています。一人ひとりの成長に合わせ、ゆったりとした呼吸のなかでリズムある生活ができるよう、これからも子どもたちを見守っていきたいです。

ライター/職員 越野美樹