2022.03.02
“ふつうのお父さん”は藤野で楽しく暮らせるのか?
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.127 2022.3.2
2022年3月で藤野に来て4年になります。現在4年生の息子がシュタイナー学園に入学するタイミングで横浜市から移住しました。シュタイナー教育のことを妻から聞き、まず横浜の学校を見学し、その後、同じ神奈川県の北端、藤野にも学校があるということで見学会などに参加しました。横浜から通える距離ではないものの、現地を訪ねてみて、子どもを育てるうえで豊かな自然が大事だと感じ、藤野移住を本格的に考えるようになりました。
◆藤野移住に向けて
まずHPで情報収集し、藤野観光協会の移住体験ツアーを知りました。移住体験ツアーでは、藤野のいくつかのエリアを回って空き物件や移住者のお宅、シュタイナー学園などを見学し、あらためて「自然にあふれたきれいなところだな」という印象を持ちました。当時は自家用車もなかったので、いろんなエリアを回りながら、その場で疑問に答えてもらえるこのツアーは大変助かりました。
私の職場は都心の半蔵門ですが、通勤できるかが不安でした。そこで日曜日にひとりで当時営業していた民泊を利用し、月曜日の朝、藤野駅からの出勤を試し、通勤時間がどれくらいかかるのか、混雑具合はどうかなどを確認し、大丈夫だろうと結論づけました。 民泊したお宅で、「近所の猟師さんが撃ったものをいただいたのでどうぞ」と鹿肉のグリルを出してくださった時は、こんなことがあるのかと驚きました。
物件探しを含め、実際に移住するまでに4〜5回藤野に来たと思います。初めは全く土地勘がなく、どこにいるのかよく分かりませんでしたが、だんだん全体像が見えるようになり、まずは駅まで歩いていけるエリアで賃貸物件を探すことにしました。藤野は家族向け賃貸が少ないので、観光協会の「里まっち」という移住相談や、地元の不動産屋に相談して探し、入学を控えた4月に移住しました。そして、1年経たないうちに手頃な土地が見つかり、家を建てることを決めたのです。今ではわが家が移住ツアーで見てもらう側になりました。
◆藤野で生活して
移住して4年になりますが、今でも自宅から藤野駅に向かう途中で見える景色に惹かれ足を止めて写真をとることがしょっちゅうあります。都心まで通勤できる距離で四季折々の自然を楽しめることが、僕にとって藤野の最大の魅力です。
藤野はアーティストや市民活動家が多い、トランジションタウン構想など、ちょっと変わった町で、“普通のサラリーマン”はあまりいないんじゃないか、コミュニティが独特で人間関係が面倒なんじゃないか、といった不安を持たれている方もいらっしゃるかもしれません。
実際のところ、この町でどう暮らすかは人それぞれで、私のように平日は家で寝るだけ、芸術的センスゼロ、近所付き合いのほか特に地域での活動もしていないというタイプでも居づらさを感じたことはありません。面白そうなイベントがあれば行ってみますが、家庭菜園をしたり、息子と山に登ったり、川で釣りをしたりして週末を過ごすことが多いです。
通勤に関していうと、私は早朝6時台の中央線に乗っていますが、藤野駅からだとほぼ100%座ることができるので、朝の1時間を読書に充てる、ニュースを見るなど用途を決めてしまえば有効に活用できると思います。恒常的に遅くまで働かなければならない環境だと厳しいかもしれませんが、そうでなければ大丈夫でしょう。
住んでから知ったのですが、周囲には数時間でハイキングができる里山がたくさんあり、週末には多くのハイカーがやってきます。何も計画していなくても、朝起きて、天気がいいからお昼は山の上で富士山を見ながらご飯を食べようかと出かけられる。そんな藤野での暮らしがとても気に入っています。
ライター/保護者 木村克也