2017.12.04
シュタイナー学園の音楽教育
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.21 2017.12.04
シュタイナー学園の授業の中にはコーラスの時間があり、4年生の娘は、毎週コーラスの授業を心待ちにしています。その理由は、先生にとても魅力があるからとのこと。私も、娘が編入した始業式の時に、その先生が生徒たちにその場で歌を教えてみんなで歌うという場面を拝見して、あゝこの程よく力の抜けた方の授業を受けたいと、すっかり先生に魅了されてしまいました。娘のコーラスの授業参観で先生の美しい歌声を聞いて、私の第一印象は確信に変わり、この先生から歌を学んでみたいと思ったのです。
娘がシュタイナー学園に通うようになってから、家で歌う声も今までとは全く違っているのを感じました。「歌うときは、『が』は『んが』というんだよ。知ってる?」と娘に教えられ、そいういえばそうだった。私も小学生の時に地域のコーラス隊に入ってたなぁ、また歌でも歌ってみたいという思いがフツフツと湧いてきました。
娘のコーラスの授業を担当している先生が、大人のコーラスも教えてくださっていることを知り、ワクワクしながら早速練習に参加する連絡をしたのです。先生はどうもアンカヴァーリング・ザ・ヴォイスという歌唱法を取り入れているらしいのですが、いったいどういう歌い方なんでしょうか?
コーラスの練習に行くと、まずはマヌケな顔をさせられました。歯を食いしばらないで、1、2年生が素話を聞く時にするようなボケーっとした顔をして、力を抜くのが理想なのだそうです。力が抜けていないと、もっと力を抜いて、と言われるから、みんな真剣にマヌケな顔をするんです。まずは、口を半開きにしてドレミファソと歌い、その後に肩をまわします。ある時は、舌を少し出して力を抜き、レの口をして歌う。またある時は、あごを下に落として口を大きく開けて歌う。唇を震わせてブルブルブルブル~とさせながら、ドレミファソを歌う。
そんなことをしているうちにすっかり肩の力が抜けて、リラックスして声が出しやすくなりました。歌を歌うには、力を入れて腹式呼吸しなければならないというイメージがあり、今までどうもうまく声が出なかったのですが、以前より前に声が通るようになった気がします。
アンカヴァーリング・ザ・ヴォイスでは、頭のてっぺんから前に声を出すのではなく、声を後ろに出すイメージ。キンキン声を出すのではなく、声を響かせる。歌う前に、よく聴くということも大切にしています。先生は、鼻濁音保存委員会!?もされていて、日本語の美しい響きも残していきたいのだそうです。
そして、先日のシュタイナー学園の30周年記念式典では、生徒、卒業生、保護者のオーケストラの演奏に合わせて、メサイアからのハレルヤコーラスに参加させていただきました。生のオーケストラを間近で聞けるだけでも感激なのに、その音に合わせて歌うことができ、とても気持ちがよかった!この歳になると歌詞もリズムも音程もなかなか覚えられないのですが、娘のダメ出しを受けながら、家で何度も練習した甲斐がありました。
芸術の中でも、音楽をとても大切にしているシュタイナー教育。娘にも、外からの音楽だけではなく、内側からあふれる小さくて静かな音を聴く力が育ってきているのを感じています。娘は、藤野に来てから音楽にどんどん興味を持ちはじめ、ピアノを弾けるようになりたいと、オイリュトミーを伴奏している藤野在住の先生のところに習いに行くことにもなりました。私は3歳からピアノを習っていたのに娘の年齢の頃にはやめてしまって、コーラスを再開しようと思った時には、楽譜すら読めなくなっていることに驚愕。一般には遅すぎると思われる時期にピアノを習いはじめた娘は、先生からの教えをスポンジのように吸収して、練習しなさいなんて言わなくても、毎日ピアノを弾くことを楽しんでいます。
子どもたちの歌声が、どんなものか気になりますか?シュタイナー学園で学期末に行っている月例祭で、もしかしたら生徒たちのコーラスが聞けるかもしれません。月例祭ではその学期に学んだことを全生徒が発表しますが、エポック授業、劇、オイリュトミーなどがあります。どんな学びが発表されるのかは当日までわからないですが、コーラスが含まれることが多いですよ。ぜひ歌声を聴きにいらしてくださいね。
(4年保護者・越野美樹)