学校法人 シュタイナー学園

活動報告

2018.11.14

教育

やる気を育てる国際交流

学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.47  2018.11.14

シュタイナー学園で行われている国際交流について、高等部校長・英語科の浦上裕子先生に聞きました。

初めての国際交流は、今から12年前、10期生が11年の時でした。ユネスコの招待で、クラス全員がドイツに行ったのです。ドイツのシュタイナー学校に泊まり、前半はユネスコのイベントに参加、後半はシュタイナー学校との交流をして、10日間くらいの日程でした。

個人の交換留学が始まったのは、約10年前の12期生から。世界中のシュタイナー学校で、同じくらいの学年同士でホームステイをしあいます。授業料、ホームステイ費用は留学先では必要なく、渡航費とおこづかいだけで交換留学ができます。初めの生徒は1年近く行きましたが、シュタイナー学園での学びも大切にしてもらいたいので、今では3カ月と期限を決めています。

今年度も6人の生徒が交換留学制度を利用します。原則的に生徒が希望する国のシュタイナー学校に自分で連絡を取り、パートナーを探します。高等部があるシュタイナー学校のリストを渡し、生徒に英語でメールを出させます。直接海外の子どもからアプローチしてくることも少なからずあり、その場合は行きたい生徒を募り、交換留学が成立します。今年度は韓国、ブラジル、フランス、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアの生徒と交換留学が行われます。

インターネットに世界中のシュタイナー学校の高校生のための交換留学掲示板があり、学園も登録しています。そこを見て連絡してくる生徒は、年々増えています。日本は海外の生徒からサブカルチャーなどで注目されていて、今、ロシアからもアプローチが来ているところです。

こちらに来る生徒は個人差があるものの、やはり日本語の難しさの壁にぶつかることが多いようです。個人的に日本語を勉強してくる生徒もいますが、日本語のコースがある学校の生徒もいます。古文の授業などは難しいので、留学生に自費で日本語の個人レッスンをうけて受けてもらうこともあります。

先日の高等部学園祭では、日本語が話せなくて苦悩していたニュージーランドの留学生が、生き生きとした表情を見せてくれました。抹茶とどら焼きの係で着物を着たのですが、後夜祭ではそのまま着物姿でダンスをし、「こんなに楽しい思いをしたのは初めて」と語ってくれました。

こちらから留学に行った子どもたちは、みな自信を持って帰ってきます。3カ月という短期間なので語学はそこまで上達しないのですが、貴重な体験であることは確かです。戸惑いながらもなんとかやっていけるという自信がつき、「もっと語学を深めたい」という入り口に立てます。交換留学の相手と一緒に帰ってきたり、逆に先にこちらに来て一緒に海外に行ったりするケースが多いです。合わせて6カ月ともに暮らすので、交流も深まります。

交換留学以外では、劇の指導などで海外から講師を毎年お呼びしています。たまたまブラジルの留学生がいたときに、ブラジル人の講師が来た時にはポルトガル語がとびかっていました。卒業旅行でオイリュトミー講演をするため、海外に行ったクラスもあります。また、シュタイナー学校を卒業した後に日本に来たいと、ボランティア受け入れの打診が来ることもあります。学内にも父親や母親が外国人という生徒もいますし、普段から国際色豊かです。

今後も生徒のやりたい気持ちに寄り添い、シュタイナー学校ならではの国際交流を深めていきたいと思います。