2019.08.14
10期卒業生 藤井拓麻さん 卒業生の数だけ未来がある~シュタイナー学園を卒業したその先~
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.65 2019.08.14
「シュタイナー学園での時間は『進路を決める』ためのものではなく、やりたいことを見つけていく、その後押しをしてくれるような時間だった。」 とインタビューで答えてくれたのは、今から11年前にシュタイナー学園を卒業した藤井拓麻さんです。海外に行きたかった藤井さんは、シュタイナー学園を卒業後ドイツに渡ります。そしてドイツのキャンプヒルでの生活を経てパン職人の道へ。その後パン職人のドイツの国家試験に合格し、現在は相模原市でドイツパン専門のパン屋「ハウミューレ」を営まれています。
シュタイナー教育というと教科書がない、テストがない、点数による評価がないなどの特徴があって、そのような中で育った子どもはどんな風になるの? どんな進路を歩むの? と興味が湧いてくることと思います。卒業生たちが大学に入学して、また社会に出て改めてシュタイナー教育を通して学んだこと、現在の様子などを語ってくれているのが、「FUJINO STEINER COLUMN」というサイトです。そこには俳優、写真家、グラフィックデザイナー、看護師、大学の客員教員、海外の大学院などで現在活躍している卒業生たちのまぶしすぎるくらいの言葉が並んでいて、「一人ひとりが違っていいんだ」という環境で育まれた子どもたちが、それぞれ違う道を歩んでいる様子がつづられています。
14期卒業生 高野翔悟さん
「自分がシュタイナー教育を受けたことは強いアイデンティティです。ですが同時に、それによってそうではない人を他者としてみてはいけないと思っています。自由への教育と言われるシュタイナー教育を受けた人は、確かにバランスの良さがあります。目に見えるもの、目に見えないものへのバランスの良さですね。現代は、クリエイティブの時代と言われていますから、シュタイナー教育はかなり価値があると思います。」と語ってくれているのは、さまざまなワークショップを主宰する高野翔悟さん。
14期卒業生 大坪メイさん
グラフィックデザイナーの大坪メイさんも「グラフィックを中心に、プロダクトの制作や、お店の運営、展示やイベント等、業務が多岐に渡る事務所なのでとにかく忙しい。でも自分の強みだとも思うのですが、手を動かすことが苦にならないんです。たとえ膨大な作業でも出来ない、と思うことはありません。それは小さい時から何でも『自分で作る』ということを学んできたシュタイナー教育の影響もあるんじゃないかと思っています。」と、モノづくりに取り組む現場での強みを話してくれました。
19期卒業生 坂本新太さん
また東京大学に通う坂本新太さんは、インタビューの中で「自分は何がやりたいのか、ということがわからなくなってしまう人はきっと多いと思います。」という問いかけに「シュタイナー学園の友達は、そこがわかっている人が多いと感じます。音楽をやりたいとか、自分で工房を作ってものづくりをしたいとか。勉強したい、というのはそういったことと同じです。だから、〇〇大学に行っている、なんてことをクローズアップすることに意味はないと思います。東大の多くの人は都市部の中高一貫校から進学してきていて、小学校3年生くらいの時から塾に通って勉強漬けの生活をしてきている。僕は小学校3年生の時は米を作っていたし、小学校4年生の時は家を作っていました。他にもろうそくを作ったり、ジャグリングをしたり、オイリュトミーもそうですけど、普通は体験しないようなことをいっぱい体験して、体験に基づいた学びをしていました。そんな教科書に書いてあることを読んで理解するだけじゃない学びって、重要だと思っています。」と話しました。
ここで紹介したのは卒業生のうちのほんの一握り。「FUJINO STEINER COLUMN」ではたくさんの卒業生が真っ直ぐに自分の言葉で語っています。また、こちらのサイトでは学園の保護者のインタビューも掲載しています。興味深い人がいっぱい! どんな人たちがこの学園を共に形作っているのか感じていただけると思います。
自分のやりたいことを見つけ、人生を愉しんでいる卒業生たち。その卒業生一人ひとりの姿が、シュタイナー教育とはどんな教育なのか、この学園が何を大切にしているかを見せてくれているなと感じます。
※「FUJINO STEINER COLUMN」更新は終了し、学園HP「活動報告」に統合しました(2022年)。
保護者/ライター なかむらあや