2020.10.02
交換留学のこと
学校法人シュタイナー学園 ニュースレター
VOL.91 2020.10.14
現在12年生の娘は10年生の時に南ドイツのエスリンゲンにあるシュタイナー学校の生徒と交換留学をしました。
なぜ留学を望んだのか娘に聞いたところ、主に2つありました。
1つ目は、この学園でドイツ語と出会ったことです。授業は4年生~6年生まででしたが、ドイツ語の歌や詩などに触れ、時にはドイツのお菓子作りなどがありとても楽しかったそうです。(※現在はドイツ語の授業は行っておりません。)7年生以降もその学びを続けたいと熱望し、ドイツ語の先生に直談判してサポートしていただきました。学んでいるドイツ語を現地で使ってみたいという気持ちが膨らんでいったそうです。
2つ目は、4年生の時に我が家で保護犬を迎えたのですが、家族でドッグトレーニングに通ったり犬と暮らすことに関連する本を読んだりしていくと、ドイツでは人と犬との暮らし方や動物の福祉がとても先進的なことを知り、実際に自分の目で確かめてみたいと思ったそうです。
この2つが大きな原動力となって「ドイツ留学」の実現に向けて本格的に動き始め、パートナーを探しました。学校を通してドイツのシュタイナー学校に打診をし、様々なご縁があって同じ学年の女の子が手を挙げてくれました。先に娘がドイツに行き、その後ドイツからパートナーを迎え入れることになりました。
私は娘と長期間離れて暮らすことはこれまで無く、何かあってもすぐに行けない外国へ行かせるのはとても心配でした。さらに私は日本語しか話せないので、ドイツからパートナーを迎えた際のコミュニケーションへの不安もありました。しかし事前にホストファミリーの親同士はメールで、子ども同士はSNSでコミュニケーションを取っていたことや、留学の少し前に父親とドイツへ行く機会があり、パートナーの女の子とお母さんに現地でお会いして交流を深められたことが不安解消につながりました。さらに、娘のクラスでは当時7人ほど様々な国へ交換留学・短期留学を予定しており、留学のための情報交換も行われていました。クラスメイトと期待や不安を分かち合いつつ準備ができたので、娘自身は特に大きな不安は抱かず、むしろ目標に向かってやってきたことが実現することへの期待に目を輝かせ、嬉しそうに出発していきました。
滞在した3ヵ月間は、多くの学びがありました。ホストファミリーにとても温かく迎え入れてもらい、長期休暇の家族旅行に同行しドイツ近隣の国々を廻ったり、Tierheim(ティアハイム:犬の保護施設)を見学しに連れて行ってもらったりしました。学校生活ではドイツ語で授業を受けることの難しさと慣れていく過程を実感したそうです。
不安を持っていた私でしたが、娘がほぼ毎日連絡して来てくれたことや、ホストファミリーのご両親も時折メールで様子を知らせてくれたことで、貴重な経験をしていることがわかり安心しました。
ドイツでの留学期間を終えてパートナーの女の子と一緒に帰国し、藤野での生活が始まりました。彼女は日本語はほとんど話せなかったのですが、学校では先生方や娘が通訳したり、家ではドイツの話や料理を一緒に作ったり、一緒に旅行に行くなど交流を楽しみました。
交換留学を終えて、娘は勇気を出してチャレンジすることの大切さ、様々な違いを認めつつ元々ある良さを忘れないことを実感したと言います。親にとっても大きなチャレンジとなり、成長を感じられる大切な経験となりました。ドイツ語の授業が良き出会いとなり、先生方が学びを続けたい意志を大事にして下さって協力していただけたことは、これから社会に出ていく娘にとって大事な土台になっていると感じています。
ライター/保護者 志水陽子